私が子供だった頃、石油はあと30年、いや20年で枯渇するなどと、将来を憂う話がよく大人の会話の中で交わされていたのを覚えています。実際にオイルショックを経験し、石油が無くなると大変なことになるんだなあと子供心に思ったこともあります。そして、大学を卒業する頃になって、友人たちと「石油、ちっとも無くならないよね?」と会話した当時が今でも思い起こされます。
それから、ン十年、今では埋蔵量の話など全く話題にもなりませんが、あの時に社会を戦慄させた石油枯渇の話はどうなったのでしょうか?それについて、石油の埋蔵量に関する良い解説がありました。長いのですが、たいへん大事な示唆に富んでいますので全文を引用します。個人的に気になる箇所は赤字にしました。
なぜか増えていく石油「埋蔵量」の秘密
人類は地中の資源の全貌をまだ知らない
鶴岡 弘之 2014.10.09(木)
資源開発は実に不可思議な世界だ。
住友商事がシェールオイル、シェールガスの開発に失敗し、1700億円という巨額の損失を計上することになった。
同社は2012年に米国テキサス州の鉱区の権益(30%)を13億6500万ドルで取得した。しかし、実際に採掘してみると、「地質が予想以上に複雑で、採掘コストがかかる」ことが判明した。同社は事業の見通しが立たないと判断し、リース権および井戸などの設備を譲渡する決断を下した。その売却に伴う減損損失の計上である。
ご存じのように、シェールオイル、シェールガスは地中のシェール(頁岩:けつがん)層から採掘される石油、天然ガスだ。2000年代に入ってアメリカで採掘技術のイノベーションがあり、一気に大量生産されるようになった
(ちなみに、シェール層から採掘されるオイル、ガスは従来の石油、天然ガスと基本的に品質は変わらない。「シェールオイル」「シェールガス」という固有のオイル、ガスがあるわけではない)
今回の住友商事のニュースで不思議なのは、それほど「採掘コストがかかる」ことがなぜ事前に分からなかったのか、ということだ。同社は「見通しが甘かった」と反省の弁を述べるが、どれほど楽観的に巨額の投資をしようとしていたのか。素人目には理解に苦しむと言わざるを得ない。
『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門』(文藝春秋)は、石油開発の仕組みやエネルギー業界のメカニズムを一般の読者向けにやさしく解説した本である。著者の岩瀬昇氏は商社で40年以上エネルギー関連事業に携わった。シェール開発プロジェクトでなぜ住友商事のような“事故”が起きるのか、岩瀬氏に話を聞いた。
石油業界は、門外漢には及びもつかぬ、知られざる常識に満ちた世界だった。石油の「埋蔵量は成長する」ことを、皆さんは知っていましたか?
■石油開発ではどの会社でも起こり得ること
──住友商事は、「採掘コストが予想以上にかかることが分かった」ためにシェール開発プロジェクトを中断したという話ですが、どんな予想を立てていたのでしょう。なぜ前もって分からなかったのでしょうか。
岩瀬昇氏(以下、敬称略) 地下のことは誰にも分かりません。私たちは三十数万キロも離れた月の表面のことは分かっても、地球のたった何百メール下がどうなっているのかは分からないんですね。見えないからです。掘ってみないと分からない。
在来型と言われる通常の石油開発は、大まかに言うと3つの段階を踏んで進められます。まず、「探鉱」によって資源があるかどうかを調べます。資源があることが分かったら、それを効率的に採掘するためのプランを作って施設を造る。これが2つ目の「開発」段階です。そして、3つ目の段階が「生産」です。住友商事は非在来型のシェール鉱区を開発案件として買っています。
最近の探鉱作業では、主に地震探査を行います。人工的に地震を起こして震動の伝わり方を調べ、どこにどんな地層があるのかを調べるのです。今回のケースで具体的にどのような探鉱作業を行ったのかは分かりませんが、シェール層がここにあるだろうというのは分かっていたはずです。
また、探鉱段階ですでにいくつかの井戸も掘られており「これくらいのコストでこれくらいの石油、ガスを集められる」というデータもあったはずです。住友商事はそのデータをベースに計算していたんだろうけど、計算通りにいかなったということでしょう。買った時期がブームの真っ最中で、取得コストが高かった面もあると思います。
──地中の状態によって採掘コストはそんなに大きく変わってしまうものですか。
岩瀬 岩のなかに石油やガスどれだけあるか、集めやすいか集めにくいか、どれくらいの深さのところにあるかなどで、コストは大きく変わってきます。深ければ掘削パイプを多量に使用しなければならないので、当然コストがかさみます。
特にシェール層は岩が固いし、また、岩の中に閉じ込められている石油やガスの密度が在来型の地層より薄く、回収できる量が少ないんです。だから、掘る井戸の数も多くなるし、コストが膨らみやすい。石油やガスをいかに効率的に集めるかがカギとなります。
──住友商事じゃなくても、こういう結果になってしまう可能性はあった。
岩瀬 もちろんあります。石油開発ですから。
■「資源量」と「埋蔵量」は違う
──シェールオイルやシェールガスは世界中にたくさんあると言われています。けれども、簡単に取り出せるわけではないということですね。
岩瀬 「シェールオイル、シェールガスが世界中にあるからエネルギーは安心だ」みたいな論調があります。でもそうした見方には根本的な誤りがあります。資源量と埋蔵量をごっちゃにしているんですよね。
シェールオイル、シェールガスがこれだけあるという情報ソースはほとんどすべてアメリカのエネルギー省が発表している数字です。実は、その数字は「技術的に回収可能な資源量」として発表されているんです。それがいつのまにか「埋蔵量」として報道されてしまっている。
おおざっぱに言うと、資源量とは、地中に存在するすべての炭化水素量のことです。この「技術的に回収可能な資源量」のうち、通常の方法で経済的に生産が可能なものを埋蔵量と言います。
──「経済的に生産が可能」とはどういう意味ですか。
岩瀬 掘って生産して元が取れるということです。技術的には海水から金を採取することも可能だと言われています。でも膨大な海水からほんのちょっとしか取れない。コストを考えたら、誰もそんな馬鹿なことはやらないわけです。つまり、採掘する価値を誰も見出さない資源は「資源量」とは言えるけど「埋蔵量」とは言えないのです。
■ベネズエラがサウジアラビアを追い抜いた理由
──『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』では 石油の埋蔵量が増えていることと、その理由が書かれていますね。
岩瀬 私が会社に入った四十数年前、可採年数(現存埋蔵量を生産量で割った数字)は30年と言われていました。ところが、四十数年経った今、なくなるどころか50年強と言われています。生産量も増えているけど、それ以上に埋蔵量が増えている。
通常、埋蔵量と言えば、「確認埋蔵量」を指します。確認埋蔵量とは、回収できる可能性が90%以上のもののことです。回収できる可能性が50%以上のものを「推定埋蔵量」、10%以上のものを「予想埋蔵量」と言います。つまり、回収できる可能性が低いため確認埋蔵量とは認められないものがたくさんあるのです。
ところが技術が進んだり、石油の値段が高くなって収益が見込めるようになると、そういったものも回収可能になります。今までは「生産できないだろう」という前提で確認埋蔵量と認定されていなかったのが、確認埋蔵量と認定されるようになるのです。だから「埋蔵量は成長する」と言われています。
──埋蔵量は技術と経済条件によって変わるということですね。
岩瀬 それまで埋蔵量と認められていなかった資源量が、あるときから埋蔵量に認識されるようになるケースもあります。
例えば「オイルサンド」(粘性の高い鉱物油分を含む砂岩)のケースがそれです。アメリカのSEC(証券取引委員会)は、アメリカで上場している石油開発企業に、保有埋蔵量を財務データの中に入れるよう義務づけています。投資家保護のためです。SECは独自の定義と計算式を持っており、そのルールに基づいて各社の保有埋蔵量を発表しています。
ところが2000年代前半にスーパーメジャーのエクソンモービルは、SEC規定とは異なった数字をウォールストリートの人たちに発表していました。なぜならエクソンモービルはカナダの子会社が保有するオイルサンドも埋蔵量と認識していたからです。リー・レイモンド会長は「我々の埋蔵量はもっとあるんだ」と胸を張って主張していました。
結局、2008年にSECは基準を変えました。オイルサンドも埋蔵量としてカウントすることにしたのです。SEC以外でも多くの人々が同じように認識を変えました。ベネズエラのヘビーオイル(超重質油)も埋蔵量としてカウントされるようになっています。
その結果、何が起きたか。それまで世界で最大の埋蔵量を誇る国はサウジアラビアだったのですが、ナンバーワンがベネズエラに代わったのです。ベネズエラは大量のヘビーオイル埋蔵量を持つ国でした。オイルサンドが大量にあるカナダもサウジに次ぐ3位になっています。
このように、昔だったら生産に結びつかないだろうと思われていたもの、埋蔵量とは認められなかったものなどが埋蔵量にカウントされるようになり、埋蔵量は増えていきました。
スーパーメジャーの1社であるBPが60年以上にわたって発表している統計集によると、世界の確認埋蔵量は93年に1兆416億バレルだったのが、2013年には1兆6879億バレルに増えています。1.6倍の増加です。業界の常識として埋蔵量は間違いなく昔より増えているのです。
──それは世の中の常識とは大きく違いますね。
■アメリカはまた国力を高めていく
──シェールガスに関しては、明るい未来を描く人がいる一方で、「バブル」だという声も聞かれます。岩瀬さんはどう見ていますか。
岩瀬 ウォールストリートの投資家たちが参入してきてシェール開発でゲームをしているんだと言う人がいます。でも、それは石油開発事業の本質を知らない人が言っていることだと思います。
石油開発は、調査段階から実際に生産が始まるまで約10年かかります。「今日はこっち、明日はこっち」と簡単に方向転換できるものではない。やると決めたら腰を据えてやるんです。ウォールストリートの投資家たちが入ってきて、自由に出たり入ったりできる世界ではありません。
──アメリカのシェールガス開発事業者は赤字のところが多いと聞きますが。
岩瀬 確かに今、シェール開発の経済性は悪くなっています。天然ガスの価格は2008年頃に8ドル/100万BTU(熱量単位)あったのが、2ドルを割るまで下がってしまった。今は戻って4ドルくらいですが、この価格の低さが経済性を悪くしています。
だから、今、シェール開発に取り組んでいる事業者は、ガスじゃなくてできるだけ石油の方を掘ろうとしているんです。リグ(掘削機械)の稼働している台数も、ガス用のものは減って石油の方が増えています。それは経済性を考えたら当たり前のことだと言えます。
ただし、アメリカでは、ここ数年でシェール革命によって安価なエネルギー資源を潤沢に使えるようになったことは事実です。シェールを含む石油の生産量は、2013年には2005年よりも約45%増加しています。ガスも約35%増えています。自給率も石油が約53%、ガスは90%を超えました。
21世紀はアメリカの力が低下すると言う人がいますが、僕は「本当かな」と思っています。シェール革命のおかげで、アメリカはまた国力を高めていくんじゃないでしょうか。
引用元:JBpress http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41896
上引用文は非常に分かりやすくまとめられており、石油資源開発の専門家である岩瀬氏も、分からないことは分からないと率直に語られており、好感が持てます。
全文を通し概して言えるのは、石油埋蔵量なる数字は人為的な算定方法で決められるものであり、採掘技術の向上や相場の変動などにより、その算定ルールも時によって変わるということでしょう。
ですから、「業界の常識として埋蔵量は間違いなく昔より増えている」という結論が出てきても、理屈はまあ理解できなくもありません。
しかし、地球トータルの資源量とその内の採掘可能量(埋蔵量)が具体的に示されている訳でもなく、結局、石油はあとどれくらい採れるのかという点は曖昧なままです。人工地震まで使って調査しているのですから、総資源量の見積もりくらいは立てられると思うのですが、やはりそれも知素人考えなのでしょうか?総資源量がわかれば、今後の採掘技術の発達ペースを加味しながら、世界全体の石油消費量の推移から生産の限界点は一定の範囲内で予測できるはずです。
石油という世界経済の基軸とされている資源が、その将来的な産油量も曖昧なままに70億人が住むこの世界が運営されているとしたら、それこそ驚愕すべき事実だと私は思います。
■石油はどこからやってくるのか?
世界各国の元首や石油メジャーの経営者が、そんなその日暮らしの国家運営や商いをやっていると考えるのはあまりにも不自然です。もしそうだとしたら無責任の誹りは免れないでしょう。常識的に考えれば、石油に代わる確固たるエネルギー戦略があればこそ、現在の経済が維持できているとするのが自然ではないでしょうか。
まず一番に考えられる代替エネルギー戦略は原発です。私がここでいう原発とは、世間で議論されている原発ではなく、一般市民に知らされることなく、地中深くに作られた地下原発のことです。これについては他の記事でも解説しており、ここでは深く掘り下げませんが、私はその原子炉の数を世界で10万基程度かそれ以上と見積もっています。長距離送電などできないのですから、需要に合わせて現地に発電所を作るしかない、そう考えれば当たり前に導ける結論です。
しかし、全てが電気に置き換わった訳でもなく、自動車などまだ石油系の動力機関は相変わらず多く残っている。それだけでなく、アジア地域の発展で自動車は増産され、石油に対する需要が拡大しているのも事実です。では、どうやって帳尻を合わせているのでしょうか?いつもの情報筋からの回答は意外と簡単でした。
石油は人工的に作られている
■人造石油の生産基地は日本
石油が人工的に合成できるという話は、実は戦時中からあり、日本の場合は石油資源に切迫していたこともあり、人造石油の研究開発はかなり大規模に行われていました。それについては、詳しく書かれたサイトもあるのでどうぞそちらをご覧ください(参照:「石油と石炭2~北の大地で石油を~」)。
問題は品質と生産効率なのですが、戦時中はほとんど目的を達成できなかったものの、戦後になって飛躍的に研究が進み、どうやら、原油とほとんど変わらないものを低コストで生産できる技術がその後に完成したようなのです。
原料には石炭を用いますが、石炭は日本で豊富に採掘できる資源の一つです。労働争議から炭鉱事故、石油との価格競争、諸々の理由で日本の石炭産業は1960年代をピークに急速に衰退して行くのですが、閉山されていく石炭鉱山の中身はというと、秘密裏に人造石油生産工場へと転換されて行ったのです。
西暦 生産量 世界の出来事
------------------------------------
1963 5,110万t
1965 5,011万t
1967 第三次中東戦争
1970 3,833万t
1973 第四次中東戦争/原油価格70%上/第一次オイルショック
1975 1,860万t
1979 第二次オイルショック
1980 1,645万t
1997 798万t
-------------------------------------
表1:国内炭生産量と世界の出来事
上表は、日本の国内炭の生産量の推移と、中東戦争、それに伴いオイルショックが起きた年を時系列に並べたものですが、石油危機が叫ばれたオイルショックを挟んで石炭の生産量が落ちていくのは、何か不自然な気がします。本当にエネルギー危機を感じたのなら石炭の生産量を維持するか増産するのが正道ではないのでしょうか?
実は2度のオイルショックを経験した頃、アラブ諸国の石油資源は本当に枯渇してしまったようなのです。そして、日本からの人造石油を輸入転売する商売の国へと変貌したのです。その石油経済の根本的転換を示すのが、年表に記した原油価格70%の値上げ、価格決定権のオイルメジャーからOPEC(アラブ諸国連合)への移動、そしてそれによって引き起こされたオイルショックなのです。
ここで、それならなぜ日本はその時に石油輸出国の宣言をせず人造石油の密売を選択したのか、当然それが疑問として残ります。私は、一つの仮説として、中東石油経済の中枢で強力な発言権を握ることにより、欧米石油メジャーを巻き込んだ中東紛争の計画的発生、すなわち戦争経済のコントロールを可能にしたかったのだと睨んでいます。なぜそう考えるかというと、前から指摘しているように、日本の見えざる地下政府は基本的にカルト思想の集団であり、最終的に中東から第三次世界大戦(世紀末戦争)を起こすことを目論んでいたと思えるからです。
そう考えると、ここ数十年でおきた中東諸国での紛争、例えば、イラン・イラク戦争から湾岸戦争、イラク戦争から、ISISの勃興、そして現在のシリア内線に至るまで、それら悪魔的所業の最も中核にたのは、日本という名の石油メジャーであったのかもしれません。狙いはもちろん、世紀末戦争に向けた土壌作りです。
日本で秘密裏に行われている大量の核燃料の生産も、世界の地下ネットワークを経由した無軌道な地球規模での地下原発の建設も、最終的に世紀末戦争を起こす前提であれば、核廃棄物の最終処分場など考える必要がない、むしろ世界経済を膨れるだけ膨らせてしまおう、汚せるだけ汚してしまおうという、したたかな悪魔的哲理であるとすら思えるのです。
* * *
今回の記事で、米国による日本支配という、いわゆる属国論が、そもそも実体経済に根差していない幻想であるとお分かり頂けたでしょうか?石油も核も、世界エネルギーの中枢を支配しているのは、この日本だったのです。最後に、これらに関連して123便事件について一つだけ触れておきましょう。
123便撃墜計画とは、世紀末戦争を始める最初の狼煙だったのです。
ところが、数々の番狂わせが起きたため、戦争は延期されてしまった。たいへん皮肉な物言いになりますが、読者様がこの記事を目にすることができるのも、123便事件という不可解極まる事件があったからこそと言えなくもないのです。その番狂わせとは何か、これからお伝えすることになります。
SPIRITUS DOMINI SUPER ME EO QUOD UNXERIT DOMINUS ME AD ADNUNTIANDUM MANSUETIS MISIT ME UT MEDERER CONTRITIS CORDE ET PRAEDICAREM CAPTIVIS INDULGENTIAM ET CLAUSIS APERTIONEM
主はわたしに油を注ぎ/主なる神の霊がわたしをとらえた。わたしを遣わして/貧しい人に良い知らせを伝えさせるために。打ち砕かれた心を包み/捕らわれ人には自由を/つながれている人には解放を告知させるために。
(新共同訳聖書 イザヤ書 第61章第1節)
一の年に記す
管理人 日月土
それから、ン十年、今では埋蔵量の話など全く話題にもなりませんが、あの時に社会を戦慄させた石油枯渇の話はどうなったのでしょうか?それについて、石油の埋蔵量に関する良い解説がありました。長いのですが、たいへん大事な示唆に富んでいますので全文を引用します。個人的に気になる箇所は赤字にしました。
なぜか増えていく石油「埋蔵量」の秘密
人類は地中の資源の全貌をまだ知らない
鶴岡 弘之 2014.10.09(木)
資源開発は実に不可思議な世界だ。
住友商事がシェールオイル、シェールガスの開発に失敗し、1700億円という巨額の損失を計上することになった。
同社は2012年に米国テキサス州の鉱区の権益(30%)を13億6500万ドルで取得した。しかし、実際に採掘してみると、「地質が予想以上に複雑で、採掘コストがかかる」ことが判明した。同社は事業の見通しが立たないと判断し、リース権および井戸などの設備を譲渡する決断を下した。その売却に伴う減損損失の計上である。
ご存じのように、シェールオイル、シェールガスは地中のシェール(頁岩:けつがん)層から採掘される石油、天然ガスだ。2000年代に入ってアメリカで採掘技術のイノベーションがあり、一気に大量生産されるようになった
(ちなみに、シェール層から採掘されるオイル、ガスは従来の石油、天然ガスと基本的に品質は変わらない。「シェールオイル」「シェールガス」という固有のオイル、ガスがあるわけではない)
今回の住友商事のニュースで不思議なのは、それほど「採掘コストがかかる」ことがなぜ事前に分からなかったのか、ということだ。同社は「見通しが甘かった」と反省の弁を述べるが、どれほど楽観的に巨額の投資をしようとしていたのか。素人目には理解に苦しむと言わざるを得ない。
『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門』(文藝春秋)は、石油開発の仕組みやエネルギー業界のメカニズムを一般の読者向けにやさしく解説した本である。著者の岩瀬昇氏は商社で40年以上エネルギー関連事業に携わった。シェール開発プロジェクトでなぜ住友商事のような“事故”が起きるのか、岩瀬氏に話を聞いた。
石油業界は、門外漢には及びもつかぬ、知られざる常識に満ちた世界だった。石油の「埋蔵量は成長する」ことを、皆さんは知っていましたか?
■石油開発ではどの会社でも起こり得ること
──住友商事は、「採掘コストが予想以上にかかることが分かった」ためにシェール開発プロジェクトを中断したという話ですが、どんな予想を立てていたのでしょう。なぜ前もって分からなかったのでしょうか。
岩瀬昇氏(以下、敬称略) 地下のことは誰にも分かりません。私たちは三十数万キロも離れた月の表面のことは分かっても、地球のたった何百メール下がどうなっているのかは分からないんですね。見えないからです。掘ってみないと分からない。
在来型と言われる通常の石油開発は、大まかに言うと3つの段階を踏んで進められます。まず、「探鉱」によって資源があるかどうかを調べます。資源があることが分かったら、それを効率的に採掘するためのプランを作って施設を造る。これが2つ目の「開発」段階です。そして、3つ目の段階が「生産」です。住友商事は非在来型のシェール鉱区を開発案件として買っています。
最近の探鉱作業では、主に地震探査を行います。人工的に地震を起こして震動の伝わり方を調べ、どこにどんな地層があるのかを調べるのです。今回のケースで具体的にどのような探鉱作業を行ったのかは分かりませんが、シェール層がここにあるだろうというのは分かっていたはずです。
また、探鉱段階ですでにいくつかの井戸も掘られており「これくらいのコストでこれくらいの石油、ガスを集められる」というデータもあったはずです。住友商事はそのデータをベースに計算していたんだろうけど、計算通りにいかなったということでしょう。買った時期がブームの真っ最中で、取得コストが高かった面もあると思います。
──地中の状態によって採掘コストはそんなに大きく変わってしまうものですか。
岩瀬 岩のなかに石油やガスどれだけあるか、集めやすいか集めにくいか、どれくらいの深さのところにあるかなどで、コストは大きく変わってきます。深ければ掘削パイプを多量に使用しなければならないので、当然コストがかさみます。
特にシェール層は岩が固いし、また、岩の中に閉じ込められている石油やガスの密度が在来型の地層より薄く、回収できる量が少ないんです。だから、掘る井戸の数も多くなるし、コストが膨らみやすい。石油やガスをいかに効率的に集めるかがカギとなります。
──住友商事じゃなくても、こういう結果になってしまう可能性はあった。
岩瀬 もちろんあります。石油開発ですから。
■「資源量」と「埋蔵量」は違う
──シェールオイルやシェールガスは世界中にたくさんあると言われています。けれども、簡単に取り出せるわけではないということですね。
岩瀬 「シェールオイル、シェールガスが世界中にあるからエネルギーは安心だ」みたいな論調があります。でもそうした見方には根本的な誤りがあります。資源量と埋蔵量をごっちゃにしているんですよね。
シェールオイル、シェールガスがこれだけあるという情報ソースはほとんどすべてアメリカのエネルギー省が発表している数字です。実は、その数字は「技術的に回収可能な資源量」として発表されているんです。それがいつのまにか「埋蔵量」として報道されてしまっている。
おおざっぱに言うと、資源量とは、地中に存在するすべての炭化水素量のことです。この「技術的に回収可能な資源量」のうち、通常の方法で経済的に生産が可能なものを埋蔵量と言います。
──「経済的に生産が可能」とはどういう意味ですか。
岩瀬 掘って生産して元が取れるということです。技術的には海水から金を採取することも可能だと言われています。でも膨大な海水からほんのちょっとしか取れない。コストを考えたら、誰もそんな馬鹿なことはやらないわけです。つまり、採掘する価値を誰も見出さない資源は「資源量」とは言えるけど「埋蔵量」とは言えないのです。
■ベネズエラがサウジアラビアを追い抜いた理由
──『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』では 石油の埋蔵量が増えていることと、その理由が書かれていますね。
岩瀬 私が会社に入った四十数年前、可採年数(現存埋蔵量を生産量で割った数字)は30年と言われていました。ところが、四十数年経った今、なくなるどころか50年強と言われています。生産量も増えているけど、それ以上に埋蔵量が増えている。
通常、埋蔵量と言えば、「確認埋蔵量」を指します。確認埋蔵量とは、回収できる可能性が90%以上のもののことです。回収できる可能性が50%以上のものを「推定埋蔵量」、10%以上のものを「予想埋蔵量」と言います。つまり、回収できる可能性が低いため確認埋蔵量とは認められないものがたくさんあるのです。
ところが技術が進んだり、石油の値段が高くなって収益が見込めるようになると、そういったものも回収可能になります。今までは「生産できないだろう」という前提で確認埋蔵量と認定されていなかったのが、確認埋蔵量と認定されるようになるのです。だから「埋蔵量は成長する」と言われています。
──埋蔵量は技術と経済条件によって変わるということですね。
岩瀬 それまで埋蔵量と認められていなかった資源量が、あるときから埋蔵量に認識されるようになるケースもあります。
例えば「オイルサンド」(粘性の高い鉱物油分を含む砂岩)のケースがそれです。アメリカのSEC(証券取引委員会)は、アメリカで上場している石油開発企業に、保有埋蔵量を財務データの中に入れるよう義務づけています。投資家保護のためです。SECは独自の定義と計算式を持っており、そのルールに基づいて各社の保有埋蔵量を発表しています。
ところが2000年代前半にスーパーメジャーのエクソンモービルは、SEC規定とは異なった数字をウォールストリートの人たちに発表していました。なぜならエクソンモービルはカナダの子会社が保有するオイルサンドも埋蔵量と認識していたからです。リー・レイモンド会長は「我々の埋蔵量はもっとあるんだ」と胸を張って主張していました。
結局、2008年にSECは基準を変えました。オイルサンドも埋蔵量としてカウントすることにしたのです。SEC以外でも多くの人々が同じように認識を変えました。ベネズエラのヘビーオイル(超重質油)も埋蔵量としてカウントされるようになっています。
その結果、何が起きたか。それまで世界で最大の埋蔵量を誇る国はサウジアラビアだったのですが、ナンバーワンがベネズエラに代わったのです。ベネズエラは大量のヘビーオイル埋蔵量を持つ国でした。オイルサンドが大量にあるカナダもサウジに次ぐ3位になっています。
このように、昔だったら生産に結びつかないだろうと思われていたもの、埋蔵量とは認められなかったものなどが埋蔵量にカウントされるようになり、埋蔵量は増えていきました。
スーパーメジャーの1社であるBPが60年以上にわたって発表している統計集によると、世界の確認埋蔵量は93年に1兆416億バレルだったのが、2013年には1兆6879億バレルに増えています。1.6倍の増加です。業界の常識として埋蔵量は間違いなく昔より増えているのです。
──それは世の中の常識とは大きく違いますね。
■アメリカはまた国力を高めていく
──シェールガスに関しては、明るい未来を描く人がいる一方で、「バブル」だという声も聞かれます。岩瀬さんはどう見ていますか。
岩瀬 ウォールストリートの投資家たちが参入してきてシェール開発でゲームをしているんだと言う人がいます。でも、それは石油開発事業の本質を知らない人が言っていることだと思います。
石油開発は、調査段階から実際に生産が始まるまで約10年かかります。「今日はこっち、明日はこっち」と簡単に方向転換できるものではない。やると決めたら腰を据えてやるんです。ウォールストリートの投資家たちが入ってきて、自由に出たり入ったりできる世界ではありません。
──アメリカのシェールガス開発事業者は赤字のところが多いと聞きますが。
岩瀬 確かに今、シェール開発の経済性は悪くなっています。天然ガスの価格は2008年頃に8ドル/100万BTU(熱量単位)あったのが、2ドルを割るまで下がってしまった。今は戻って4ドルくらいですが、この価格の低さが経済性を悪くしています。
だから、今、シェール開発に取り組んでいる事業者は、ガスじゃなくてできるだけ石油の方を掘ろうとしているんです。リグ(掘削機械)の稼働している台数も、ガス用のものは減って石油の方が増えています。それは経済性を考えたら当たり前のことだと言えます。
ただし、アメリカでは、ここ数年でシェール革命によって安価なエネルギー資源を潤沢に使えるようになったことは事実です。シェールを含む石油の生産量は、2013年には2005年よりも約45%増加しています。ガスも約35%増えています。自給率も石油が約53%、ガスは90%を超えました。
21世紀はアメリカの力が低下すると言う人がいますが、僕は「本当かな」と思っています。シェール革命のおかげで、アメリカはまた国力を高めていくんじゃないでしょうか。
引用元:JBpress http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41896
上引用文は非常に分かりやすくまとめられており、石油資源開発の専門家である岩瀬氏も、分からないことは分からないと率直に語られており、好感が持てます。
全文を通し概して言えるのは、石油埋蔵量なる数字は人為的な算定方法で決められるものであり、採掘技術の向上や相場の変動などにより、その算定ルールも時によって変わるということでしょう。
ですから、「業界の常識として埋蔵量は間違いなく昔より増えている」という結論が出てきても、理屈はまあ理解できなくもありません。
しかし、地球トータルの資源量とその内の採掘可能量(埋蔵量)が具体的に示されている訳でもなく、結局、石油はあとどれくらい採れるのかという点は曖昧なままです。人工地震まで使って調査しているのですから、総資源量の見積もりくらいは立てられると思うのですが、やはりそれも知素人考えなのでしょうか?総資源量がわかれば、今後の採掘技術の発達ペースを加味しながら、世界全体の石油消費量の推移から生産の限界点は一定の範囲内で予測できるはずです。
石油という世界経済の基軸とされている資源が、その将来的な産油量も曖昧なままに70億人が住むこの世界が運営されているとしたら、それこそ驚愕すべき事実だと私は思います。
■石油はどこからやってくるのか?
世界各国の元首や石油メジャーの経営者が、そんなその日暮らしの国家運営や商いをやっていると考えるのはあまりにも不自然です。もしそうだとしたら無責任の誹りは免れないでしょう。常識的に考えれば、石油に代わる確固たるエネルギー戦略があればこそ、現在の経済が維持できているとするのが自然ではないでしょうか。
まず一番に考えられる代替エネルギー戦略は原発です。私がここでいう原発とは、世間で議論されている原発ではなく、一般市民に知らされることなく、地中深くに作られた地下原発のことです。これについては他の記事でも解説しており、ここでは深く掘り下げませんが、私はその原子炉の数を世界で10万基程度かそれ以上と見積もっています。長距離送電などできないのですから、需要に合わせて現地に発電所を作るしかない、そう考えれば当たり前に導ける結論です。
しかし、全てが電気に置き換わった訳でもなく、自動車などまだ石油系の動力機関は相変わらず多く残っている。それだけでなく、アジア地域の発展で自動車は増産され、石油に対する需要が拡大しているのも事実です。では、どうやって帳尻を合わせているのでしょうか?いつもの情報筋からの回答は意外と簡単でした。
石油は人工的に作られている
■人造石油の生産基地は日本
石油が人工的に合成できるという話は、実は戦時中からあり、日本の場合は石油資源に切迫していたこともあり、人造石油の研究開発はかなり大規模に行われていました。それについては、詳しく書かれたサイトもあるのでどうぞそちらをご覧ください(参照:「石油と石炭2~北の大地で石油を~」)。
問題は品質と生産効率なのですが、戦時中はほとんど目的を達成できなかったものの、戦後になって飛躍的に研究が進み、どうやら、原油とほとんど変わらないものを低コストで生産できる技術がその後に完成したようなのです。
原料には石炭を用いますが、石炭は日本で豊富に採掘できる資源の一つです。労働争議から炭鉱事故、石油との価格競争、諸々の理由で日本の石炭産業は1960年代をピークに急速に衰退して行くのですが、閉山されていく石炭鉱山の中身はというと、秘密裏に人造石油生産工場へと転換されて行ったのです。
西暦 生産量 世界の出来事
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1963 5,110万t
1965 5,011万t
1967 第三次中東戦争
1970 3,833万t
1973 第四次中東戦争/原油価格70%上/第一次オイルショック
1975 1,860万t
1979 第二次オイルショック
1980 1,645万t
1997 798万t
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表1:国内炭生産量と世界の出来事
上表は、日本の国内炭の生産量の推移と、中東戦争、それに伴いオイルショックが起きた年を時系列に並べたものですが、石油危機が叫ばれたオイルショックを挟んで石炭の生産量が落ちていくのは、何か不自然な気がします。本当にエネルギー危機を感じたのなら石炭の生産量を維持するか増産するのが正道ではないのでしょうか?
実は2度のオイルショックを経験した頃、アラブ諸国の石油資源は本当に枯渇してしまったようなのです。そして、日本からの人造石油を輸入転売する商売の国へと変貌したのです。その石油経済の根本的転換を示すのが、年表に記した原油価格70%の値上げ、価格決定権のオイルメジャーからOPEC(アラブ諸国連合)への移動、そしてそれによって引き起こされたオイルショックなのです。
ここで、それならなぜ日本はその時に石油輸出国の宣言をせず人造石油の密売を選択したのか、当然それが疑問として残ります。私は、一つの仮説として、中東石油経済の中枢で強力な発言権を握ることにより、欧米石油メジャーを巻き込んだ中東紛争の計画的発生、すなわち戦争経済のコントロールを可能にしたかったのだと睨んでいます。なぜそう考えるかというと、前から指摘しているように、日本の見えざる地下政府は基本的にカルト思想の集団であり、最終的に中東から第三次世界大戦(世紀末戦争)を起こすことを目論んでいたと思えるからです。
そう考えると、ここ数十年でおきた中東諸国での紛争、例えば、イラン・イラク戦争から湾岸戦争、イラク戦争から、ISISの勃興、そして現在のシリア内線に至るまで、それら悪魔的所業の最も中核にたのは、日本という名の石油メジャーであったのかもしれません。狙いはもちろん、世紀末戦争に向けた土壌作りです。
日本で秘密裏に行われている大量の核燃料の生産も、世界の地下ネットワークを経由した無軌道な地球規模での地下原発の建設も、最終的に世紀末戦争を起こす前提であれば、核廃棄物の最終処分場など考える必要がない、むしろ世界経済を膨れるだけ膨らせてしまおう、汚せるだけ汚してしまおうという、したたかな悪魔的哲理であるとすら思えるのです。
* * *
今回の記事で、米国による日本支配という、いわゆる属国論が、そもそも実体経済に根差していない幻想であるとお分かり頂けたでしょうか?石油も核も、世界エネルギーの中枢を支配しているのは、この日本だったのです。最後に、これらに関連して123便事件について一つだけ触れておきましょう。
123便撃墜計画とは、世紀末戦争を始める最初の狼煙だったのです。
ところが、数々の番狂わせが起きたため、戦争は延期されてしまった。たいへん皮肉な物言いになりますが、読者様がこの記事を目にすることができるのも、123便事件という不可解極まる事件があったからこそと言えなくもないのです。その番狂わせとは何か、これからお伝えすることになります。
SPIRITUS DOMINI SUPER ME EO QUOD UNXERIT DOMINUS ME AD ADNUNTIANDUM MANSUETIS MISIT ME UT MEDERER CONTRITIS CORDE ET PRAEDICAREM CAPTIVIS INDULGENTIAM ET CLAUSIS APERTIONEM
主はわたしに油を注ぎ/主なる神の霊がわたしをとらえた。わたしを遣わして/貧しい人に良い知らせを伝えさせるために。打ち砕かれた心を包み/捕らわれ人には自由を/つながれている人には解放を告知させるために。
(新共同訳聖書 イザヤ書 第61章第1節)
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